橘慎吾 四面楚歌!?





「橘慎吾 四面楚歌!?」






「さて、では電源を入れるぞ。」
光が、おもむろにゲーム機の電源をONにする。
今、俺たちは光の親父が経営している会社の1つであるゲームメーカーが
創った(というより、光坊ちゃんに創らされた)ゲームソフトをプレイするため、
光の実家に遊びに来ている。
丁度夏休み真っ只中ということもあり、
学校の校則に縛られることなくいつものメンバーが全員集合している。
「よっ、待ってました!!
俺達をゲームキャラにして創ったというギャルゲーソフト、ずっと楽しみに待ってたんだよな〜。」
太陽が嬉しそうにはしゃいでいるが…俺は正直不安だ。
俺たち…つまりこの場にいる俺、太陽、光、七瀬。
そして、女の子たち…要するに攻略できるヒロインである、
NANA、美月、澪ちゃん、若菜ちゃん、そして…ライム。
一体この面子がキャラで、どんなゲームが出来ることやら。
「さぁ見たまえ、これが伊集院財閥の中のゲーム開発部門の
総力を結集した偉大なるギャルゲーソフトだ。」
電源をいれた直後メーカーの名前やら、伊集院財閥の名前やらが出て、
その後、タイトルらしきものと鷹宰学園らしき建物の校門が姿を現す。
そこにはなぜか桜の樹がデーンと構えている。
季節はどうやら春らしい。
が…そこに目がいったのは一瞬のこと。
次の瞬間、俺たちの目線はそのタイトルへといってしまう。


『青い果実〜禁じられた愛〜』


「なんだこのエロビデオっぽい雰囲気の漂うタイトルは。」
「いえ、なんだかその…男の子同士のああいうものっぽい気がするわ。
あ、私がそういうものに興味があるというわけではないのだけど…。」
「そうかな…ボクにはなんだか、夜9時あたりからやってる、
ミステリードラマのようなタイトルに見えるんだけど。」
俺、澪ちゃん、七瀬が口々に不満をたれ、
他のみんなもそれに同調するかのように頭を縦にふる。
「…このタイトルのどこが不満だと言うのだ。」
「……このタイトルのどこが不満を言われないものだと思うんだ。」
「ま、まぁいい。話を進めていけばわかるさ。
もし好評なら、キャラを少しだけ変更し、発売することも考えている。」
「その時はタイトル変更しろよ。」
「…了解した。」
こうして、俺達がキャラになっているというギャルゲー、
『青い果実〜禁じられた愛〜(仮)』が始まった。