サンタの秘密はユメのナカ?
熱く濡れた目頭を服の袖で拭いながら、俺は隣のベッドに眠る人物を睨み付けた。
喧嘩をするのはいつもの事。
今日も俺達は喧嘩をした。
まだ俺達は1つの部屋を与えられるほどの歳ではなく、2人で1つの部屋を共用していた。
2人。俺と、姉貴で。
そして夜、いざ眠ろうとした時に事は起きた。
「あんた、まだサンタクロースなんか信じてんの?」
最初、その言葉の意味が解らなかった。
「馬鹿ね、サンタクロースなんている訳ないじゃない」
嘘だ。
だって毎年俺は、サンタクロースからプレゼントをもらってる。
美月も峰央もプレゼントをもらってる。
もちろん、姉貴だって。
だからサンタクロースは、絶対にいるんだ。
「あ、そう。まああんたはガキだから、適当に信じてなさい」
そう言って姉貴は、早々とベッドにもぐり込んでしまった。
俺はしばらく姉貴を睨み付けた後、部屋の電気を消して自分のベッドへ向かった。
サンタクロースは夜更かしをする悪い子の所には来ない。
だから毎年、クリスマスの夜は早寝をする。
でもその夜は違った。
サンタクロースがいないと言う姉貴の勘違いを否定するために、俺はベッドの中で眠った振りをしながら、
サンタクロースが来るのを待っていた。
サンタクロースが来るのを…。