秘密のParty Party FINAL






 ……………………。
 ………………。
 …………。
 ん?
 昨日の…夜?

 そういえば昨日の夜、おトイレに行って帰ってきた時…慎吾君を見たような?
 ええっと、そうだ、確か窓を開けて…木陰で慎吾君が誰かと一緒にいて…。
 何だか私とHしてる時のような………………って、ま、まさか!?
 いや、えっと、仮にそうだとしても、相手は!? そっ、そんな事をする人いるはずないし!?
「あの、慎吾さん。あまり眠いのでしたら眠ってきてもいいんですよ?
 ボクや姉さんなら、もうだいぶ打ち解けてきましたし…」
「ん〜、そうだな。後で一眠りするか。それにしても…やっぱ七瀬はいい子だなぁ。顔もNANAみたいに可愛いし」
「えっ? そ、そんな事を言われると…何だか恥ずかしいなぁ」
「照れない照れない」
 気のせいだろうか? 仲睦まじく会話を交わす2人が恋人同士のように見えるのは…。
 い、いやいや。私が変な事を考えてるからそう見えちゃうだけだよね? うんうん、きっとそうだ。
 いくら七瀬が私に似ているからって、七瀬と…だなんて。
 だいたい私だってすぐ側にいるのに…。
 あ、でも、私の部屋は温子伯母さんがいるし…さすがに誘いには来れないか。彼の部屋は七瀬もいるし…あっ。
 そうよ。七瀬とするのだったら、わざわざ外でする必要ないよね。だからあの時外にいた慎吾君は夢か何かに違いないわっ!
 …ハッ! そういえば私達も校舎の影でした事が…。たまには外でやるのも新鮮だろ? って言われて…。
 あぁ〜っ!! もう、昨日の夜のアレは夢だったの!? それとも現実!?
「…NANA、どうかしたのか? さっきから百面相してるけど」
 苦悩する私を見て不審に思った慎吾君が、心配そうに私を見ていた。
「えぇっ!? いや、えっと、何でもないよ! ちょっと考え事を…」
「いったい何を考えてたんだ?」
「それは…。あは、アハハ。たいした事じゃないよ」
「…そうか?」
 いぶかしげに首をひねる慎吾君。けれどそれ以上追求しようとしてこない。
 ホッと胸を撫で下ろしはしたけれど、やっぱりあの疑念は消え去らない。
 昨日の深夜の出来事、もしくは夢だったかもしれないけれど…でも…。
 う〜…駄目駄目。彼が浮気したんじゃないかって考えるなんて、彼を信頼してないようなものじゃないか。
 よりにもよって七瀬が相手な訳ないし。
 たまにライムちゃんの大きなおっぱいに眼を奪われたり、須藤さんに見とれてたりするけれど…。
 でもそれは慎吾君が女の子の事を好きっていう証拠だもの。
 男の子の七瀬は大丈夫よね。

 そう考え至ると、何だか胸のつかえが取れたような気がした。
 さてと、それじゃあ朝ごはんを食べて、今日も元気に一日を過ごさないと。
「七海、おはよう」
 と意気込んでいると、キッチンから温子伯母さんが出てきた。
 手に持っているお盆には、白い湯気を立てるお茶碗が乗っている。
 えっと、お味噌汁はもうテーブルにあるから、ご飯が乗ってるのかな?
「おはよう、温子伯母さん」
 朝の爽やかな挨拶を終えた温子伯母さんは、さっそくテーブルにお茶碗を置いていく。
 やっぱり中身は白いご飯。
 私の分、七瀬の分を置いて、それから自分の分。
 最後に慎吾君の分を置いた手を、温子伯母さんはお盆に戻さず、自信の口元へとかぶせる。
 そして小さなあくび。
「温子伯母さんも寝不足ですか?」
 何気なく質問した七瀬に向かって、温子伯母さんはニッコリと微笑み返す。
「ええ。朝食の支度のために、今日は早起きをしたから」
「そうなんですか。ありがとうございます」
「いいのよ。あなた達に美味しいご飯を食べてもらえると、とっても嬉しいんですもの」
 それから温子伯母さんはお盆を持ってキッチンに戻ろうとする。
 その時、温子伯母さんの首元にある小さな痣を見つけた。

「温子伯母さん。首に痣があるけれど、どうしたの?」
 私も何気なく訊いてみると、温子伯母さんはちょっぴり驚いた顔をして首元に手を当てる。
「えぇと…どこでついたのかしら?」
 困惑したように呟く温子伯母さんに、すかさずフォローが入る。
「虫にでも食われたんじゃないですか?」
 フォローの主は、慎吾君。顔をしかめているのは、単に眠気を堪えているからだろうか?
「そうですね。きっと虫のせいだわ。七海と七瀬は大丈夫?」
「う、うん」
「そう、よかった。それじゃあ私はお盆を置いてくるから、そうしたら一緒に朝ご飯を食べましょう」
 お盆を持ってキッチンに戻る温子伯母さんの背中を見つめながら、ふと思い出す。
 私もああいう痣が出来た事が、前にあった。
 そう、あれは…慎吾君が首元に強くキスをした時。
 ………………もしかして、昨日の夜のアレは…慎吾君と、あつ…。
 まっ、まさかね! だって温子伯母さんはずっと私と同じ部屋にいたし…。
 そりゃ、私はすぐ眠っちゃったし、トイレから戻った時に温子伯母さんのベッドを見た時は、えっと…。
 温子伯母さん、ベッドにいたっけ? いたと言えばいたような気もするし、いないと言えばいなかったような…。
 いや、そもそも昨日の夜、私は本当にトイレに行ったのだろうか? 
 トイレに行ったのは夢だったのかもしれない。現実である可能性もあるけれど。
 どこからどこまで現実で、どこからどこまで夢なのか。
 あるいはすべてが深夜の出来事、もしくはすべてがただの夢。
 結局…真相は闇の中へと消え、私達は仲良く朝食を食べ、別荘で数日間遊んだ。




SUMI様
このセリフを言うのも2回目ですねぇ。1回目は去年の掲示板にて。では言います。

深夜の出来事なのかそれとも夢だったのか。
その答えは各自で好きに決めてくださって結構です、私は決めてな(以下略)