桜色の空の下で






 慎吾の答えは……どっちなの?
 まるで自分が告白したかのように、心臓が破裂しそうなほど早く脈打つ。
 二人から目が離せない。
 慎吾の答えは……。

 須藤さんの肩に置かれた、慎吾の手。
 あたたかくて、大きな手。
 あの手はもう、子供の頃あたしとつないでいた手とは全然違う。
 慎吾はとても優しく微笑んで、唇を動かす。
 その時、風が吹いて木々を揺らし……その音が邪魔をして、慎吾が何て答えたのか聞き取れなかった。
 須藤さんの震えが止まる。

 慎吾はそっと須藤さんの肩を押して、身体を離した。
 須藤さんはぽかんとした顔で、慎吾の瞳を見つめている。
 もう一度、慎吾の唇が動く。

「ありがとう。澪ちゃんの気持ち、すっごく嬉しいよ」
 須藤さんの桜色の唇が、小さく微笑んだ。






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