人魚姫NANA





「それでそれで!?」
「王子様とNANA姫はどうなったの!?」
 小さな人魚の子供たちが、不安や期待に瞳を輝かせながら訊ねてきました。
 何て可愛らしいんだろう。子供こそ国の宝だと心から思います。
「うふふっ。この後、王子様とNANA姫はね……」
 話の続きをしようとしたその時、お城の方から美しい人魚がやってきました。
 あれは……ライムさんだ。
「なーなぁっ! またこんな所で油を売って。これから歴史の勉強の時間やないのぉ」
「えー、もう少しくらいいじゃない。この子達にNANA伯母様のお話を聞かせて上げたいの」
「そんなもんまた今度でええやない。ほら、帰ろ」
「あーん、ライムさんのイジワルゥ」
 ライムさんに無理矢理引っ張られて行く私に向かって、子供たちは名残惜しそうに手を振った。
「なな姫様〜、バイバーイ」
「またお話の続き聞かせてね〜」

 人魚の国は今日も平和。
 私もいつか、お父さんの七瀬王みたいな立派な女王様になりたいなぁ。
 もしくは、素敵な恋をするというのも悪くない。
 私も来週の誕生日を迎えたらついに海の上に出られるし、素敵な出会いが待ってるかも!
 そうしたら私もあの物語みたいに……なんてね。






お し ま い






一昨年の事です。
今ある物語の原型はすべて童話や神話にあるとコメントしたSSを寄贈しました。
恋愛CHU!の原型となる物語は人魚姫だとも。
……という訳で人魚姫です。結末は全然違いますけどね。
SUMI様