サンタの秘密はユメのナカ?


「それにしても、初めてのカラオケで90点も出すとは…さすが神崎君だ」
「息もピッタリでさー、マジで上手かったぞ」
 みんなに歌を褒められて、NANAは嬉しそうに微笑み、俺にそっと身を寄せてきた。
「えへへ…慎吾君のおかげだよ」
「な、NANA…そういう恥ずかしい事は」
「愛の力やな」
 唐突に、ライムが爆弾発言を放った。
 それまでの和やかな空気が固まり、生温かい視線が俺達へと向けられる。
 けれどNANAは、そんな視線に気付かない。
「ヤだ…愛の力だなんて、照れちゃうなぁ」
 グハッ!
「ちょ、ちょっと…慎吾、あんたまさか…神崎君と」
「ち、ちっが〜うっ! ライム、変な冗談はやめろよ! NANAもノリが良すぎるぞ」
 ライム…これが狙いだったのか。
 じろりとライムを睨みつけると、返ってきたのは意地悪そうな笑顔。
 …そういえば、姉貴もよくあんな風に笑ってたな。
「ま、冗談はこれくらいにして続きやろか。次は誰が歌う?」




 あれからNANAも1人で歌にチャレンジを始め、90点前後という高得点を連続で出した。
 ライムも同じく、90点前後という高い歌唱力を発揮する。
 こりゃ、優勝はNANAかライムで決まりだな。
 俺もNANAとのデュエットで高得点出してるし…ドベは太陽に確定したようなもんだ。
 これで気楽に歌を聴いてるだけですむ。



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