ブロンド台風注意報!
「さて、そろそろええ頃かな?」
時計を見ると、夜の9時を少し回ったころやった。
うちのルームメイトの女の子はすでに静かな寝息をたてとる。
…あの怪しい店の睡眠薬、よう効くなぁ。
というわけで、うちは机の一番上の引き出しから、
小型のトランシーバーらしきものを取り出す。
あくまで『らしきもの』ということで、これで誰かと通信するわけやない。
ただ、『聞くだけ』しかできんからな。
もちろん、聞くのはNANAの声や。
あの日、あの店で買ったもの。
うちが悪魔に囁かれて買ってしまったもの。
それは今、あのNANAにプレゼントした熊さんの中に仕掛けられとる。
というか、うちが仕掛けたんやけど。
それは、そう…盗聴器や。
何でも最近のそれはかなり高性能なうえ、お手頃価格で。
それが手伝ってか、うちはついつい悪魔の囁きに応じてしもうたんや。
「すまんな、NANA…けど、これであの橘 慎吾の魔の手から、
助けてあげられるかもしれんわけやさかい、大目に見たってや。」
内心ドキドキしながら、盗聴器の、受信機のスイッチをONにする。
ああ、NANAの可愛らしい声が聞けるかもと思うと、胸が高鳴るなぁ。



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