ブロンド台風注意報!


『うっ…NANA、ど、どうだ?』
「チイイイイッ!!!よりによって、記念すべき第一声が橘 慎吾かい!?」
思わず大声を出し、受信機を床に叩き付けてしまった。
ルームメイトの子は睡眠薬によって眠っとるから、明日の朝まではぐっすりなはず。
隣には…聞こえてないと思うんやけど。
「リーガンさん、どうしたの!?何かあったの!?」
隣の部屋の子の声と、ドンドン、とドアを叩く音。
やっぱ、聞こえとったんか。
部屋に入ってこられてもやっかいやな、とっとと追い返すか。
「いや、何でもないねん、気にせんといて〜。」
「そ、そう?でも、『チイイッ!!』とか聞こえてきたけど。
何か嫌なことでもあった?」
「いや〜、ちょっとダイエットの体操をな。声出しながらの方が、効果あるんよ。」
「だったらいいんだけど…何かあったらすぐ言ってね。
じゃ、おやすみなさい。」
「ん、おやすみ〜。」
ふぅ…危ないところやった。
まさに危機一髪。
もし入ってこられたら、首筋に一撃かましてでも、眠ってもらわなあかんとこやったで。
「さて、続き続きっと。」
うちは、叩き付けた受信機に耳を傾ける。
『んっ…し、慎吾くんっ…ぼ、ボクっ…。』
『NANA、すっごい気持ちいいぜ。』
『ボクも…気持ちいいよ。』
『っ…NANA、背中綺麗だな。小さくて、滑らかで。
すっげえ可愛いよ。ちょっと、舐めちゃおうかな。』
『ああっ、や、やだぁ、もうっ…あんっ!』
『ぐっ…NANA、俺、もうだめだ。』
『ぼ、ボクも…もう、イっちゃう。あ、あ、あ〜〜〜〜〜っ!!』
『うっ…はぁ、はぁ…気持ちよかったよ、NANA。』
『うん、ボクも…よかったよ。』
こめかみに、嫌な汗が流れてくる。
と同時に、受信機を持つ手に自然と力が入ってきた。
今の声、もしかして…?
それを想像してしまったと同時に、
受信機を握る手に力が込められ、受信機にヒビが入り、バキッと壊れる音がした…。





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