おめでとう×2
不安の色をたたえた瞳を凝らし、親友の姿を探す。あとついでに幼馴染みも。
どうしよう。内気で憶病な彼女の事だ、きっとすごく怯えている。
早く見つけて、安心させて上げないと。
一瞬途切れた人込みの隙間――そこに親友の姿を見た。
慌てて声をかけようとしたけれど、親友はなぜかとても幸せそうに微笑んでいる。
人込みの隙間が、少し広まる。
見慣れた親友の隣に、見飽きた幼馴染みの姿。
――ああ、そういう事か。
納得し、表情が緩む。
「佐伯さん」
背後から声をかけられ振り向くと、幼馴染みのルームメイトが不安そうな顔で立っていた。
「2人は見つかった?」
心の中でゴメンと謝ってから答える。
「こっちにはいないみたい。向こうを探そっ」
彼の暗い顔を見るのは心が痛んだが、これも親友のためだ。
2人がいた方をもう一度見てみたが、すでに新たな人の波が2人の姿を隠していた。