祝福





祝福


「姉さん、これはここでいい?」
「うん、いいよ〜」
 今日はクリスマス。神崎邸ではNANAと七瀬がクリスマスパーティーの準備のため、
 部屋の飾り付けやお皿を並べたりなどでどたばたと走り回っていた。
「だいぶ出来てきたわね」
「「温子伯母さん」」
 にっこりと笑いながら、部屋に入ってきた温子は二人に話しかける。
「でも、本当に手伝わなくてよかったの?」
「うん。自分達だけでやるって決めたの」
「そう。でも時間は大丈夫なの?」
「えっ?嘘、もうこんな時間!?」
「急がないと間に合わないよ、姉さん!」
「ふふっ、頑張ってね二人とも」
 どたばたと慌ただしく作業を再開した二人に、温子は優しく微笑むのだった。



「出来た!」
「何とか間に合ったね」
 ようやく完成し、二人はやれやれと言う感じに、クッションに座り込む。
「お疲れ様」
 まるで完成する時間がわかっていたかの様なタイミングで、温子がお茶を持って入ってきた。
「ずいぶん張り切っていたわね。何かあったの?」
 紅茶を一口飲んでから、温子は気になっていた事を聞いた。
 NANAは人を呼ぶ時、準備は一球入魂全力投球といった感じである。
 今回はそれに(有り得ないはずだが)気合としか呼べない物が入っているのである。
「今日千尋さんが来ることになったの」
「千尋さん?」
「慎吾くんのお姉さん」
 なるほどと納得する。さらに気合が入って当然である。
「それじゃ、一番可愛いお洋服を出さないといけないわね」
「ありがとう伯母さん!」





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