祝福



「でけぇ…」
 慎吾たちはNANAの実家の大きさに呆然としていた。光坊ちゃんは「ふむ、さすがだな」と感心していたが。
「慎吾、あんた逆玉狙ったの?」
「狙うかぁ!」
 慎吾が大声で千尋に怒鳴り返す。そのままふてくされた顔で文句を言う。
「無理やりついて来やがって。第一姉貴には関係ねぇじゃねぇか」
「異議ありッッ!!あたしは関係なく無いっ!!」
 びしぃっ!と指を突きつけ、大声で叫ぶ。
「NANAちゃんはあんたの恋人。あたしはあんたの姉。つまりNANAちゃんは義妹!関係大有りでしょ!」
「誰が義妹だーーー!!」
 大気を震わさんばかりに叫ぶ慎吾に対し、千尋は愕然となる。
「あんたNANAちゃん捨てる気なの!?」
「なんでそーーなるーーー!!」
「千尋さん、もうそれぐらいにしてください」
 ハア、と溜め息を吐きながら美月が言う。
 その行動に、慎吾は美月が天使の様に、いや天使そのものに見えた。
 白など一切使われてなく、どー考えても天使は着ないような格好(可愛くはあるが)なのに、
 慎吾には天使の衣装にしか見えず、背中からは純白の羽が生えていた様に見えた。
 そんな慎吾の様子を知ってか知らずか解らないが、美月はニヤリと笑い、その瞬間羽は漆黒になり、
 先が尖った尻尾が生えたのを慎吾以外の皆が見た。
「慎吾は愛しのNANAちゃんに会いたくて会いたくて仕方ないんですから、
 そんな風にからかって時間をつぶしてあげちゃ駄目じゃないですか」
 慎吾、撃沈。
「あの…二人とも、もうその辺に…」
「そうね」
「これ以上はさすがにね」
 若菜の仲裁にあっさりうなずく二人。その二人を慎吾は恨めしそうに睨む。
「ところでさっきの異議ありッッ!!って…」
「某ゲームで同じ名前の人の真似よ」
「それにしてもライムさんどうしたのかしら?」
 澪が声をあげる。
 NANAの家に行くに当たって、集合場所と時間を決めたのだが、ライムだけは現れなかったのである。
「来ないにしても電話ぐらい入れるだろうしなぁ」
 太陽が呟く。
「…待つか?」
「この寒い中でか?」
「皆お待たせ〜」
 ライムを待つか待たないかで議論していると、話題の人であるライムの声がした。
「遅いぞライム。何やって…」
 慎吾が文句を言おうと声がした方に振り向くが、ライムの横に居る人物によって二の句が告げなくなる。
 千尋以外の皆も呆然となる。





≫NEXT→