祝福
「遅れてごめんな~」
「ライム。そんな事はどうでもいい。いや、よくないがまあそれは置いておこう」
自分を落ち着かせるように慎吾はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「何でマークと一緒なんだ!」
マークに指を突きつけながら叫ぶ。
「指を突きつけないでくれないか、失礼だぞ」
「やかましいっ!!」
文句を言うマークに叫び返す。
「何でマークが一緒なんだ!全然関係ねぇだろ!」
「確かに関係ないが、俺は一緒に行かなければならない理由がある」
「何だ理由って」
「ライムを守ることや。なんせライムは別嬪やし気が利くしスタイルもええ。
しかもごっつ可愛ええ服着てきてるうえに、みんな浮かれとる日や。絶対に間違いの一つや二つ起こるはずや。
ライム安心せえよ。ワイがしっかり守ったるからな~」
怒涛の勢いで喋りだしたマークに男性陣以外が呆気に取られる。そんな中いち早く復帰した澪が声を絞り出す。
「何この人?」
「マークって言ってライムの兄貴だ。見ての通り超絶シスコン野郎だ」
ライムを抱きしめ、熱く語っているマークに呆れた視線をやりながら紹介する。
「橘、あれは放っておいて七海さんの家に入らないか?」
「そうだな…」
「じゃ、チャイム押すぞ」
『はい、どちらさまでしょうか?』
「橘君とその友達です」
『はい、解りました』
少し待っていると、玄関が開けられ、笑顔のNANAが立っていた。