祝福
「いらっしゃい皆。待ってたよ」
「待っていたのは橘だけじゃないのかね?」
「なっ!?」
「ええっ!?わ、私、ちゃんと皆の事待ってたよ!」
「ふっ、どうだか」
「でもムキになってるとこを見ると図星かも…」
「二人ともそれぐらいにしときなさい。悪ふざけが過ぎるわよ」
「そ、そうだな。すまないな七海さん」
「ごめんね、七海ちゃん」
「ううん、いいよ。気にしてないから」
 謝る二人に笑顔で答える。少し前はそんな光景が夢としか言えない状況だっただけに、慎吾に顔に自然と笑みが浮かぶ。
「ほら、皆早く入らないと体冷えちゃうよ」
 NANAに促され皆が家の中に入っていく。そんな中NANAが慎吾を引き止める。
「どうした?」
「一緒に入らない?」
「ああ、いいぞ」
 ぱっと顔を輝かせ、慎吾の腕を取って家の中へ入っていく。
「ところでその服…」
「なに?もしかして変…」
「いや、そうじゃなくて、よく似合ってるって思ってさ」
「ホント!」
 NANAが着ている服は水族館デートに負けず劣らずのフリルが付いた服だが、慎吾の言葉どおり違和感どころか
 普段着といっても通用しそうなほどに似合っていた。
 一方NANAはよく似合ってると言われ、今にもスキップしそうなほど喜んでいた。
「それにしても悪かったな。姉貴どころかマークまで付いて来て…」
「私は気にしてないよ。もちろん七瀬も気にしてないはずだよ」
「そっか。そりゃよかった」
 連絡も無しに人が増えた事に気分を害していない事を知ると、ほっとする。
 普段はいぢわるをしたりするが、本当に気を悪くなどさせたくないのである。
「ここだよ」
 そう言って襖を開ける。そこには…


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