若い草花は輝いて




慌てふためき、逃げ惑う二人を追う太陽子。
そのバケモンを追うライム。
そして、その様子を見つめる若菜。
そこに、美月がゆっくり近づいていく。
「ねぇ若菜。さっき、『太陽くん』って。
今まで、『川崎くん』って呼んでたわよね?
それに、太陽くんを見てたときの若菜、本当に楽しそうだし…もしかして─」
美月の言葉に、若菜はハッとする。
もしかして私、太陽くんのことが──?
でも、それじゃあ橘くんは?
そこまで考え、ふと若菜は気付いた。
『太陽くん』と『橘くん』
名前で呼んでいることと、苗字で呼んでいること。
その違いに。
そして、太陽の持つ、慎吾とは違う優しさ、暖かさに。
いや、本当はもっと前から気付いていたのだ。
自分に好意を持っていてくれたこと、
男の子が怖い自分を、楽しませようとしてくれていたことに。






「ね、若菜。年に一度くらい、勇気を出したら?
太陽くん、あんたに恋してるみたいだし…。
せっかく見つけたんだから、今度は悔いのないように、ね?」
「う、う、うん…そ、そうだよね…私、行ってくる。
あ、あの、太陽くんっ!!」
若菜は、太陽めがけ走っていく。
その、逞しい胸の中へ。
その、太く立派な腕の中へ。
「太陽くん、お誕生日おめでとう。わ、私からのプレゼント、受け取ってくれる?」

そして、自分の小さな唇を、太陽のそれへと、重ねていく。

二人の恋は、二人のバースディから────。





 END




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