ブラザー・パニック!
放課後、キミを待っているの。校庭の隅で。
みんなと笑うキミの事を、こっそり見ているのに。
ホントはキミと、手をつないで歩き…。
「誰に断って俺のライムと手をつないでるんだっ!!」
突然3人の男女の前に、マーク・リーガンが飛び出した。
「わぁっ!!」
「キャッ!?」
「お、お兄ちゃんっ!?」
マークの突然すぎる登場に驚き、NANAは慎吾の右腕に、ライムは慎吾の左腕にしがみついた。
慎吾は恐怖で顔をひきつらせている。
なぜなら、マークからは明らかに殺意ともとれるオーラが放出されていたからだった。
ブラザー・パニック!
マークは慎吾の腕からライムを引き剥がすと、思いっ切りぎゅぎゅぎゅっと抱き締めた。
そして愛おしそうに頬ずりを開始する。
「ライム。会いたかったぞ…元気にしていたか?」
「お、お兄ちゃん…なんで学校に来とるん?」
「そりゃあもちろん、愛しいライムのために決まっているじゃないか。
NANA君とも友達として仲良くやっているみたいだし、お兄ちゃんは一安心だ。しかしだな…」
ギラリと、マークの瞳が光る。
「お前が今惚れている相手。橘君の事でちょっとな…」
「へ? 俺?」
「そうだ。今日は君と話をしに来たんだ」
ゲッ、と慎吾は心の中で呟いた。
以前、ライムがまだNANAを男の子だと思って惚れていた頃の出来事が思い返される。
マークがNANAの正体に気づいて、ライムに真実を告げ、盗み聞きしていた光と太陽にもバレ…。
さらに学園にまで知られてしまって、NANAが神崎七海として再編入する事になったあの騒ぎ。
あの超シスコン、マークの矛先が…今度は慎吾に向けられたのだ!
「橘君。俺は君に…」
「わ〜っ! ちょっとタンマ! な、何もここで話す事ないだろ?」
「なぜだ?」
「いや、校則に触れる話題だと、他の奴に聞かれるとマズいし」
「それもそうだな。よし、ではこの前のように中庭へ行くとしよう」