秘密のParty Party REVENGE
ライムちゃんお勧めデートスポット3 カフェ『スウィート・スウィート』
慎吾君がアイスコーヒーの氷をストローで転がすと、カランという涼しげな音が鳴った。
ストローで吸い、一口だけ飲む。
「たまには悪くないな、こういうのもさ」
「うん、そうだねっ」
「…けどこれって、ダチ同士が一緒に遊んでるように見えるのか、それとも男同士のデートに見えるのか…気になるな」
「ボクは、デートに見られる方がいいな」
「俺だってデートって思われる方がいいさ。NANAが女の子の格好だったら…な」
「休日だったら女の子の服でデート出来たんだけど…。今日は学校帰りなんだから、仕方ないよ」
ボクもアイスコーヒーを飲んで、身体の火照りを静めた。
慎吾君と違って、ボクのコーヒーにはミルクと砂糖がたっぷり入っている。
白と黒が入り混じり、鮮やかなブラウンに染まったアイスコーヒーは、甘くて冷たくてすっごく美味しい。
けどカフェの中は冷房が効いていて、アイスコーヒーを飲むとちょっぴり寒いや。
窓の向こうは夏の日射しに照らされている。
「う〜ん。外は暑いし、お店の中はちょっぴり寒いし、どっちも苦手だなぁ…」
「そっか。確かNANAの離れはいつも暖かかったんだっけ」
「うん」
「温子さんがNANAのために…って気を効かせてくれてたんだろうな。
あ〜あ、NANAが羨ましいぜ。俺も温子さんみたいな優しい人に育てられたかったよ」
「慎吾君は…お母さんと仲が悪いの?」
「いや、普通。勉強しろってうるさくて、冷房かけすぎると電気代がどうのってうるさいし」
「へぇ〜、そうなんだ」
彼は窓の外に首を向けながら、頬杖をついて言った。
「なあNANA。温子さんに…会いたいか?」
「え? そりゃあ、大切な家族だし…」
「…そうだな。家族…だもんな」
「慎吾君?」
「夏休みになったら…会いに行こうぜ」
「…うん」
なぜか、慎吾君はボクと顔を合わせようとしなかった。
何かを悩んでいるように見えて、それ以上声をかけられない。