秘密のParty Party FINAL
慎吾君がこっちに向かって熱い砂浜の上を走ってくる。
心なしか、彼の顔は青ざめているように見えた。
不審に思って、私は身体を捻って後ろを振り向いてみる。
そこにあったのは私を追いかけてくる七瀬ではなく、水面を叩く細い腕だけ。
水に顔をつけられないから平泳ぎをしているはずなのに、何故?
何が起こっているのかいまいち理解出来ない。
地面に足をつけて立ち止まり、弟の腕へと一歩踏み出した瞬間、やっと状況が理解出来た。
「七瀬っ!?」
必死に駆け寄ろうとしても、水の抵抗のせいでちっとも前に進めない。
どんなに強く地面を蹴っても、足は砂に埋まり全然勢いが出ない。
「七瀬っ! 七瀬ぇっ!!」
水を叩く細腕に向かって、必死に手を伸ばす。
どんなに力一杯伸ばしても、指先すら触れる事が出来ない。
沈みかけている七瀬の腕だけを捕らえている狭く閉ざされた視界の中に、慎吾君が飛び込んできた。