秘密のParty Party FINAL
温子伯母さんと交流を持っていた慎吾君は、温子伯母さんを通して七瀬とも仲良くなった。
七瀬が私に会いたいと思っている事、七瀬が私に憎まれたり嫌われたりしてるんじゃないかって心配している事。
それらを知った慎吾君は「そんな事ない、NANAは七瀬を憎んでも嫌ってもいない」って説得したんだけど、
七瀬はやっぱり私に会う勇気が無かったみたい。
そこで慎吾君と温子伯母さんは一計を案じた。
最近体調が良い七瀬を、慎吾君は海水浴へと誘う。
泳ぎを教えてやるだとか、たまには外で遊ばないと健康になれないぞって説得して。
普段慎吾君と会う機会の少ない七瀬は、すぐその誘いに飛び乗った。
そして七瀬は昨夜、温子伯母さんにこの別荘へと連れてこられた。
慎吾君は恋人である私と誕生日を過ごすとあらかじめ聞かされていた七瀬は、
慎吾君が来るのは7月30日だと思っていたらしい。
もっとも――七瀬が勘違いするように言葉の一部をぼかして伝えたられたらしいけど。
今朝、慎吾君から電話を受け、そこで初めて私が来る事を知ったそうだ。
そういえば今朝、慎吾君は駅からどこかに電話をかけていたけれど…きっとその時だろう。
私に出会う事に不安になる七瀬を、慎吾君はまたまた言葉巧みに言いくるめた。
私は七瀬がいるって事を承知で別荘に向かっている…と勘違いするような言葉も使ったみたい。
「NANAは海で(俺と)一緒に泳ぐ事をすっごく楽しみにしてるぞ」とか。
「もし逃げたら、今後NANAに会う機会があっても臆病者として見られるかもしれないな」とか。
「俺が間を取り持ってやる。NANAと仲良くなる絶好のチャンスだ」とか。
七瀬がやる気になると、今度は十数年振りに再会する私に良いところを見せないとなって言って、
泳ぎの練習に対する熱意を高めさせたそうだ。
私と七瀬が出会っても、お互い自分から積極的に話しかける勇気が無いだろうし、
気まずくなってしまうだろうと予想した慎吾君は、あえて話し合いを放棄させ海へと連れて行く。
そこで一緒に練習すれば、それだけで相手に慣れる事が出来る。
ある程度慣れて、かつ上手くいきそうだと判断したら、今度は思い切って2人きりにさせる。
神崎家の事や言い伝えの事だと遠慮して話し合えないだろうけど、泳ぎに関しては別だろうと踏んでの事。
その狙いは、見事成功したと言える。
おかげで…私達はとても楽しい一時を過ごせたのだから。