秘密のParty Party FINAL
「七瀬が張り切りすぎて倒れるのは計算外だったけどな」
最後にそう言って慎吾君が説明を締めくくると、七瀬は恥ずかしそうにうつむいてしまった。
「七瀬、恥ずかしがる事ないよ。あなたの気持ち…よく解るから。私も初めて慎吾君に会った時は…」
「そっ、それにしてもよかったなぁ2人共っ! これからは姉弟仲良くやっていけるな!」
急に慌てたように話し出した慎吾君の言葉に、とりあえず私と七瀬はうなずいた。
これからは…七瀬と仲良く出来るんだと思うと、胸がドキドキする。
まるで鷹宰学園の編入試験に受かって慎吾君と一緒にいられるんだって思った時みたいに。
「…七海、七瀬」
その興奮を鎮めるような、とても落ち着いた声が私達姉弟を呼んだ。
声の主、温子伯母さんは、微笑みながら…不安を孕んだ声で語り出す。
「今までの事…これからの事…。話さなければならない事はたくさんあるわ。中には辛い話もあるでしょう。
それでも…お互い力を合わせてがんばるのよ。私も慎吾さんも、あなた達の見方だから…」
「――温子、伯母さん」
そう呟いたのは、私と七瀬、どちらだったのか。
あるいは2人同時に温子伯母さんの名を呟いたのか。
ただ確かなのは、私達姉弟は同じ気持ちを抱いているだろうという事。
十数年の間に出来た溝は深く、これから数多くの苦難が待っているだろう。
果たしてそれらを乗り越えられるのか?
不安で押し潰されそうな私達の心を支えているのは――。
愛しい彼へと眼を向ける。
すると彼は私の瞳を見つめ返して、優しく微笑えんで、そして、ゆっくりとうなずく。
不安で押し潰されそうな私達の心を支えているのは――君がくれたぬくもり。
それがあるから、勇気を出せる。
そのぬくもりを忘れない限り、私は絶対にあきらめない。
せっかく手に入れた君とのぬくもりを、やっと手に入れられた七瀬のぬくもりを、私は手放しはしない。