秘密のParty Party FINAL






 改めて天井が高いなぁと思う。
 離れで暮らしていた時は当たり前だったのに、寮で暮らすようになってからは、すぐ上で慎吾君が眠ってるんだもの。
 いつも使っている二段ベッドよりもずっと大きくてふかふかのベッドの中で、私は心地良い疲れに抱かれていた。
「七海、電気を消すわよ」
「うん」
 カチッという音がして、視界が闇に包まれる。
 それから隣のベッドがきしみ、布団が擦れる音がした。
 コテージには2人部屋の寝室があり、私達は男性陣と女性陣に別れて休む事になった。
 慎吾君と離れて寂しいという気持ちと、七瀬と一緒に寝たかったなって気持ちがあるけれど、
 温子伯母さんと一緒に眠るのもずいぶんと久し振りの事だったので、心は懐かしい気持ちに満ち溢れていた。
「…昔」
「え?」
 暗闇から聞こえてきた声に耳をかたむけると、不思議な安堵感が蘇った。
「あなたが小さい頃…よく一緒に眠ったわね」
「…うんっ」
 幼い頃、寂しくて、心細くて眠れない時、温子伯母さんと一緒のお布団で眠っていたっけ。
 ああ…あの時の安堵感だ。
 慎吾君とは異なるぬくもり。
 私…温子伯母さんに育ててもらえて、本当によかった。
「ねぇ、七海」
「なぁに?」
「今までの事、これからの事…色々あるでしょうけれど、今は…せめてこの別荘にいる間は、今だけを考えましょう。
 ここで七瀬と慎吾さんとの素晴らしい思い出を作れば…それはいずれあなたの力になるわ」
「1人足りないよ。温子伯母さんとの思い出も、私は作りたいな」
「七海っ…ありがとう。あなたは本当にいい子ね」
 一瞬の沈黙の後、温子伯母さんは少しだけ嬉しそうに言った。
 もしかしたら照れてるのかもしれない。
 もっとも…私も照れてるのだけれど。
 温子伯母さんの言葉がくすぐったくて、それを誤魔化そうと私は寝返りを打つ。
 クスリという小さな笑い声が聞こえた気がした。



また、幸せな思い出が増える。
初めての海。
七瀬との再会。
泳げるようになった事。七瀬と一緒に練習した事。
七瀬と、弟と解り合えた事。
私達が仲良くなれるよう、慎吾君と温子伯母さんががんばってくれた事。
夕飯の後、私と七瀬のために用意されたバースデイケーキ。
一緒にロウソクの火を吹き消して、とびっきり甘いケーキを一緒に食べて。
久し振りに温子伯母さんと一緒に寝て…。

慎吾君と温子伯母さんからのお誕生日プレゼントも、人生最高のものだった。
今年のお誕生日プレゼント。
それは――この世にたった1人の弟。






そして、物語は1年後に――続くはずもない。
不安と希望を抱いたまま…けれどきっと明るい明日が待ってると信じて、私達は共に時を重ねて行く。
これからも、ずっと…。

お し ま い































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