WEIGHT BUST WAR!!〜こんなボクだって男のコ〜


隣町にある、そこそこ大きな公園。
『平天公園』と言う名前で、近所の子供たちがよく遊びに来るらしい。
けど、今はその子供たちの姿もなく、ただただ静寂だけが場を支配している。
今日はその公園に、いつものメンバーで遊びに来ている。
そう、慎吾くん、太陽くん、光くん。
そして、佐伯さん、須藤さん、樋口さん、ライムちゃん、姉さん。
なぜ高校生にもなって公園で遊ぶことになったのか?
それはボクにはよくわからないんだけど、
どうやら普段学園では会えないから、たまにはみんなで外で遊ぼうという
いわゆる親睦会として慎吾くんが姉さんに提案したらしい。
「お、シーソーか、懐かしいな。ほら七瀬、乗ってみろよ。」
慎吾くんが、強引にボクの背を押してくる。
その先には、子供向けにしては大きめのシーソー。
その気になれば、大人でも十分楽しめるかも知れない。
けど、いくらなんでも、こんな子供っぽいので遊ぶのはちょっとなぁ。
「ほら、早く。」
「う、うん…でも、相手は?」
「あ、だったら私が相手になってあげる!」
ね、姉さんが…?
嫌な予感を覚えつつ、ボクと姉さんが同時にシーソーに乗る。
ボクはシーソーをまたいでるけど、
姉さんは女の子らしく両足を揃えて座る。
やっぱり姉さんも一応女の子なんだな。




少し軋(きし)む音をたてながら姉さんの方が下へとさがっていき、
ボクの方が上へ上へとあがっていく。
…結構、高いかも。
ここから一気に下に落ちたら、地面にドンとあたってお尻がすごいことになりそうだ。
「…七瀬?」
「な、何?姉さん…?」
「私の方が重いってこと、かな?」
「そ、そうだね、姉さんの方が大分重い──ぐうっ!!」
パッ、と姉さんが飛び降りた反動でシーソーがものすごい勢いで下り、
地面に叩きつけられた衝撃がボクのお尻に走った。
最悪な予感的中だ。
「う、ううっ…。」
「うわぁ、痛そうだなぁ〜。」
「ああ、ありゃかなり痛いぞ…NANAのやつ、めちゃくちゃするなぁ。」
「ウム、よっぽどショックだったのだろうな。
おそらく七瀬くんが口走った『だいぶ重い』が効いたのだろう。」
な、何を呑気なことを。
「もうっ!私、七瀬より重いだなんて、なんだかショックだなぁ〜。」
だ、だからってこの仕打ちはひどすぎるよぉ。
「ちょっと太ったからってさ(ボソッ)」
「何か言った?七瀬?」
「何でもありません。」
地獄耳だ。
聞こえないくらい小声で言ったはずなのに。
「はぁ、まだ痛むよ。」
ボクは、あまりの痛さに腰を上げ、お尻を擦る。
「いや〜ん七瀬く〜ん!!
小さくて可愛いお・し・り♪うちに撫でさせて〜〜〜!!」
「だ、ダメだよっ!!」
ライムちゃんのいやらしい手つきから逃げるように、ボクはシーソーに腰を下ろす。
こういうところがなければ、いい子だと思うんだけどなぁ。
「お、もう一回やる気?
だったら、あたしが相手になってあげるわ。」
「ええっ!?いや、違──」
「いいからいいからっ。」
断る暇もなく、佐伯さんが高くあがったシーソーを手で下へおろし、
さっき姉さんが座ったように脚を揃えてチョコンと腰をおろす。
…なんだか、嫌な予感が。






進む