WEIGHT BUST WAR!!〜こんなボクだって男のコ〜


ゆっくりと、ゆっくりとシーソーは平行になり、
そこでピタッと動きを止める。
もしや、互角?
今までと比べればマシな結果かもしれないけれど…
やはり勝たなくちゃ意味がない。
というか、ボクのプライドが許さない。
体を揺らし、必要以上に体重をかける。
さぁ動け、下がるんだ!
そしてボクのプライドを守り、ついでにお尻も守るんだ。
「あっ…。」
樋口さんがそう呟くのと同時に、ボクのほうが下がっていく。
やっっっ…たぁ!!
思わずガッツポーズをとる。
そのまま慎吾くんたちの方へと目を向けると、
三人はボクの方へと笑みを向け、
そして女の子達は──
なぜか、面白くなさそうな顔をしていた。
まるで樋口さんが自分達より軽いことが気に食わないとでも
言わんばかりの形相だ。
「へぇ〜、若菜の方が軽いんだ?」
「えっ…う、うん、そう…みたい。」
なぜか、樋口さんが犬に怯える子猫のように見えてくる。
なんだか…空気が冷たい。






「ねぇ、あたしとシーソーしてみよっか?」
「えっ…で、でも、今までの結果からいって、私のほうが美月ちゃんより軽──」
「いいからいいから!」
半ば強引におろされたボクは、事の成り行きを見守ることにした。
だって、何か言ったら、犠牲者になっちゃうのは火を見るより明らかだし…。
そんなボクの心中を察したのか、慎吾くんがボクの肩にポンッと大きな手を置いてくる。
「七瀬…これから起こることを、しっかりと見届けるんだぞ。
女の子の本性───いや、心の闇と言ってもいい。
それが顕になる瞬間をその目にしっかりと焼き付けておくんだ。」
「おいおい、大げさだぞ慎吾〜。楽しそうにシーソーするだけだろ?」
「フッ…太陽、君の目は節穴か?
僕には見えるぞ、あの佐伯さんから出ている漆黒のオーラがな。」
………なんかすごいことになりそうな予感…。






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