WEIGHT BUST WAR!!〜こんなボクだって男のコ〜


「きゃんっ!!」
「わ、若菜ちゃん!?」
予感、見事的中。
高く高くあがった樋口さん、パッと飛び降りた佐伯さんの策略により
お尻に大ダメージ。
もはや、声が声になってないほどに悶え苦しんでいる。
あれ、本当に痛いんだよ…。
「ちょっ…ひどいじゃないか美月ちゃん!若菜ちゃん、泣いちゃったじゃないかよぉ!」
「あら〜、ごめんね若菜〜。わざとじゃないのよ、わざとじゃ。」
絶対わざとだ。
「わかったか七瀬、あれが女の子の本性だ。
体重、それは強大な魔力を秘めた恐るべき言葉。
女の子をあそこまで冷酷にできる、悪魔の言葉なんだよ。
俺も、NANAに体重を聞いたとき──いや、この先はあえて言うまい。」
心なしか、慎吾くんの肩がブルブル震えている気がする…姉さん、あなた一体何をしたのさ?
「ふっ…くっ…み、美月…ちゃん?」
佐伯さんが、樋口さんの肩をグッと押さえつける。
も、もしかして?
「はい次、どっち?」
「!!?」
須藤さんと姉さんのほうを見ながら、佐伯さんはなおも樋口さんの肩を押さえ続ける。
「い、いやっ!ちょっ…美月ちゃん!?」
「じゃあ、私から。」
須藤さんが冷たい目のままシーソーに座る。
結果がわかっているのにわざわざ…そこまでして、樋口さんに激痛を与えたいんだろうか?
「いや、やめて〜!!」
そして、天高く樋口さんが上っていく。
そして…ものすごい勢いで樋口さんの座っている方のシーソーが地面へと──。





「くっ…はぁ、はぁ…お、お尻…裂けちゃうぅ…。」
地面の上で、ピクピク痙攣を起こしているかのように見える。
実際痙攣してたらかなりまずいから、肩で息をしてるんだろうけど。
それにしても、なんと酷いことを…。
あのあと、『いちいち乗って降りては面倒くさいから』
という理由で、須藤さんと佐伯さん、姉さんの三人が、
樋口さんの乗っていないほうのシーソーを手で降ろし、
一番高い場所へと樋口さんが上がった直後にその手を離す、
という荒業を幾度となく繰り返し、その結果が今のこの悲惨な現状。
太陽くんなんて、『もう見ていられない』とか言って手で顔を覆っているくらいだ。
それなら助けてあげればいいのに、と思いつつ、
ボクもこの場を動けないでいるところが情けないけど。
「ふぅ…まぁ、こんなものかしらね。」
長い黒髪を手で払い、清々しい笑みを見せる須藤さん。
すごく綺麗で清楚に見えるけど…やった内容を考えると、
なんだかもう全部台無しだ。
「やっぱアレよね、体重の軽いコは敵よね、敵。
たとえ親友であれなんでれ。みんなもそう思うでしょ?」
「うん、私もそう思う!」
「なぁ…うち、思ったんやけどなぁ?
体重が重いのって、バストの差やないの?さっきも言うた思うけど。」
ライムちゃんの一言に、姉さんたちの周りの空気が変わった気がする。
さっきまでの殺伐とした雰囲気が和らいだというか、何と言うか。
「そ、そうよ、胸の大きさが体重の重さなのよ!ねぇ、七海、須藤さん?」
「う、うん、私もそう思う。」
「え?あ、ええ、そうね。私や佐伯さん、七海さん、
共にバストのサイズは80代後半。いわゆる巨乳ね。
けど樋口さんは…ねぇ?私たちから見れば『貧』かしらね?」
今の言葉に、土の上でピクピク動いていた樋口さんの体が大きく揺れる。
なんだか、その体から不穏な空気が発せられている気がするよ。






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