真摯な意味


──3月2日23時30分

「お〜い!!用意はできたか?」
一人なので使っていないスペースが多い俺の部屋を利用してパーティーを開く。
感謝のためなのか、誕生日を祝うためのものなのかは微妙だが……。
「おう!!OKだぜ。光は?」
太陽は飾り付けをしていた光に聞く。
「ああ、問題ないよ」
飲み物やらおつまみやら結構そろっている。
まぁ、一番目立つのが麻雀セットだが………。
「ん〜?じゃあそろそろおばちゃん呼んで来ても良いか?」
「おういいぜ」
「構わないよ」
太陽と光の了解を得て俺は部屋を出た。


***


─コンコンコン

おばちゃんの部屋をノックする。
まぁ、実際にはお姉さんって年齢だが……
『はいぃ〜〜?誰ですか、こんな時間に?』
中からはいつも通りのおばちゃんの声が聞こえてくる。
「ああ、俺です。橘です」
まったくこれが弥生先生だとは思いたくない。
しばらく待つとおばちゃんが部屋から出てきた。
「なんですかぁ〜〜〜?」
俺は腕時計を見る。
時刻は23時55分。
「ちょっと来て下さい。大変なんです!!」
まぁ、嘘も方便というしな…。
「何があったんですか〜〜〜!?」
「とにかく来て下さい!」
そう言っておばたんの手を取り部屋へ向かう。
おばちゃんは「何なんですかぁ〜」と文句タラタラだった。
そして自分の部屋の前に着く。
「弥生先生には感謝してますよ」
「シー!此処ではそういう話は…」
俺は構わず話を続ける。
「勉強を教えてくれたり、相談に乗ってくれたり…」
「橘くん…」
そして扉に手をかける。
「これが最初で最後の恩返しですから」
そう言ってから扉を開ける。
「「お誕生日おめでとうございます!!」」
パンッ!!
声と同時にクラッカーが放たれる。
「あなた達……」
「おばちゃんには迷惑いっぱいかけたからな」
太陽は笑いながら言う。
「おばちゃんの誕生日だから祝って当然だよ」
そう言うのは光。
「という訳です。3人で相談して決行しました」
「よよよ〜〜〜。私は嬉しいです」
流石演技派。
おばちゃんを演じきってる。
「で、おばちゃんが喜ぶ物って言ったらこれくらいしか思いつかなくて…」
そう言って麻雀セットを指差す。
「おおおぉぉぉぉ〜〜〜!!私を理解した方々ですねぇ〜〜〜」
そう言って一目散にテーブルの前に座った。
「早速、はじめましょぉ〜〜」
張り切ってるな…







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