私と先生と眠り姫






 それはとある夜の出来事。
 何の変哲もない、しいて言えば月のキレイな夜でした。
 夜勤が私だった事は、本当にただの偶然。
 冷たい、けれど澄んだ空気が窓からナースセンターに流れ込んできていたので、目が冴えていた。
 時計を見ると、ちょうど日が変わろうとしているところ。
 少し寒くなってきて、熱いコーヒーを一口飲んだ後、窓を閉めるために立ち上がる。

 その時。

 滅多にならない音が、突如療養所に響き渡った。
 音の正体がナースコールだと気づくと、慌てて病室を確認する。
 それが、魔法が解けた瞬間。






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